20数年前、NECから発売されたTK-80というワンボードマイコンのキットを購入した。
いくつもの部品をハンダづけし、電源も組み立ててようやく完成。
16進数の キーボードから命令を打ち込んで走らせると、日の字のLEDが答えを表示する。
が、フリップフラップがなぜデジタルで処理をすることになるのかわからないまま、
私と コンピュータの最初の出会いであった。 その数年後、ようやくBASICが普及し始め、
SHARPのMZ-80という1体型のマシンを購入してみた。
なぜそうなるのかは相変わらずわからないまま、何かができるようにはなっていった。
まだまだマニアと呼ばれても仕方のない人だけの、道具というよりは道楽に近い、
そういう意味でまさしくpersonalなコンピュータの時代であった。
10年近く前になるだろうか、今度は中古のMacを入手した。
基本的にサポートなし、送られてきたセットに電源ケーブルとマウスが含まれていない(あとで送っても らった)ことさえ、こんなものかと思わざるを得ない状態。
近くにMacユーザーが いるわけでもなく、おまけにマニュアルもないという。
それでも、手探りで少しずつ 簡単なものであれば仕事にも使えるほどにはなった。
コンマとピリオドを入れ間違っただけでも動かなかったコマンド入力の時代からの大きな変化だと感じたものだ。
直後にソフト購入の予算をやりくりしてモデムを購入。
試しにと思った接続でそのま ま(当時の)ニフティサーブに入会。
一挙に情報の窓口が広がったことを覚えている。
と昔を振り返るまでもなく、今やパソコンをとりまく環境は大きく変化し、
操作に関 するハードルは極めて低くなっている。
今や、通常の読解力さえあれば誰でもそこそ こには使えるものとなってしまったと言えるのではないだろうか。
それにより、一頃 の、パソコンを扱うことそのものを目的としたような話題はあまり聞かれなくなった。
もともとデジタル技術そのものは代替手段である。
文字やイメージを数値に置き換えただけ。
音も画像もすべてが数値に置き換えられて人とやりとりされる。
どんなカー ブでも単位横軸と縦軸の数値の連続。
どんな音楽も時間軸を細かく割ってその音量を数値に変換。
技術の進歩によって限りなくアナログに近づいているが、あくまでも数値は数値である。
しかしあるとき、人はその数値から再現されるイメージに感動を覚 える。
立場柄、経営者的な人たちからインターネット導入の相談を受けることがよくある。
技術的な回答は難しくはないが、ホームページを自分で作りたいなどという場合、
たいがい途中で向こうがうんざりし始めるのがわかる。
そんなときは
「ホームページを作るエネルギーがあるのであれば、
それを直接のお客様に向ける方が経営者として正 しいのでは?」
と話題を変えてみることがある(えらそうに(^_^;)。
もともとパソコンは道具にすぎないし、インターネットはメディアにすぎない。
(私 たちの業界もそのメディアのひとつに過ぎないかもしれない。)
道具としてのハード ルは確実に、そして限りなく低くなっていくだろう。
あとはそれを乗り越えるための、人としての思いと、
それを伝えたいという熱意が試されているだけかもしれない。
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